大判例

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東京地方裁判所 昭和24年(ヨ)2334号 決定

申請人 全日本金属労働組合東京支部足立分会

右代表者 組合長

被申請人 東芝足立工場労働組合

右代表者 組合長

一、保証 金三万円

二、主  文

一、被申請人組合は、申請人組合の組合活動を妨害し、もしくは、被申請人組合員をして、妨害せしめてはならない。

二、被申請人組合は、別紙目録並びに図面表示の建物(組合事務所)のうち、二階北東側の一室四坪に対する申請人組合の占有使用を妨害し、もしくは、被申請人組合員をして、妨害せしめてはならない。

三、理  由

一、申請人組合は、全日本金属労働組合に個人加入をしている東京芝浦電気株式会社足立工場の従業員を以て組織せられた労働組合であつて、その組合規約によれば「大会ハコノ組合ノ最高ノ決議機関デ全組合員デ構成シ春秋二囘(四月、十月)之ヲ開催スル。但シ委員会ガ必要ト認メタトキト組合員三分ノ一以上ガ議題ヲ明示シテ開催ヲ要求シタトキハ臨時大会ヲ開ク。」(第二十条)、

「大会…………ハ組合長ガ招集スル……。」(第三十四条)

「副組合長ハ組合長ヲ助ケテ組合長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代行スル」(第十二条)ことになつている。

組合員が、右規約第二十条但書後段により臨時大会の招集を要求したにもかかわらず、組合長が、故なく、これを拒否し、もしくは、その招集を怠つた場合に、やむを得ない事由が存し、且つ緊急の必要があるときは、他の組合員において会議を招集し、総員の意思によつて、組合大会をなし得る、と解する立場も考えられる。

本件においては、花島儀三郎等民同派組合員二百余名(当時の組合員は三百九十余名)は、昭和二十四年八月十三日及び同月十八日の二囘に亘り、組合長代理副組合長根岸利夫に対し、臨時大会の招集を要求したところ、第一次の要求に対する大会は、当時「委員会ガ必要ト認メ」て開催した臨時大会と重つて開催せられず、第二次の要求(花島等は八月十九日に開催すべきことを要求した。)に対しては、同月二十一日右要求に基く大会を招集する、との囘答があつた。しかるに、花島は、これを目して、同人等の要求を拒否したものとなし、同月十九日組合員二百三十一名が集合した際、票決を行つたところ、百八十五票が、その集会を正式の組合大会となすことに賛成したので、花島等は、これを正式の組合大会と称して、執行部不信任、全金属労働組合脱退を、多数決を以て議決し、更に、同月二十一日右集会の結果に基き、組合大会なるものを開催し、(出席者二百二十四名)東芝労働組合連合会からの脱退、規約の改正等を可決し、組合長として、花島儀三郎を選任し、ついで、東芝足立工場労働組合と改称し、その組合規約を作成した。かかる事実に徴すれば、本件が、組合長(もしくは、その職務代行者)の招集をまたずに、組合員自らが大会を開催し得る場合に該当するとは認め難く、従つて、右八月十九・二十一両日の組合員の集会は、申請人組合の組合大会とはいい得ず、また、前記諸決議は、申請人組合大会のそれとしては、無効である。

(二) しかしながら、右決議に基き、申請人組合とは別個の名称、組織、内規及び代表者を有する従業員の集団の形成せられたことも否定できない。その実体は、その内規及び組織にかんがみ、一の独立した労働組合であるということができるから、要するに、右決議に基き、新たに、被申請人組合が設立せられた、ということができよう。

(三) 従つて、被申請人組合及びその組合員が、申請人組合の存立を否認し、その事務の引継、資金の引渡、並びに、組合事務所の明渡を求めることは、不当であり、また、申請人組合幹部を目して、被申請人組合の分派的行動者であるとして、その組合活動を制約しようとすることは、一の不当労働行為である。その結果、遂に、同年八月二十六日主文記載の組合事務所争奪の事態を引きおこし、一旦相互の協定により、その使用部分を定め、申請人組合は、主文記載の部分を占有、使用するに至つたが、申請人組合並びにその組合員及び被申請人組合並びにその組合員は相互に、相手方の組合活動を牽制しつつ、現在に及んでいる。その妨害の原因がいずれに在るにもせよ、被申請人組合及びその組合員が、申請人組合の組合活動及び組合事務所に対する占有、使用を妨害することは、違法であり、(申請人組合及びその組合員の行為についても、同様のことがいえるであろう。)その違法な状態を除去することは、労働組合の正当な活動を保障するため、その緊急の必要があるといえる。

而して、労働組合は、自らかかる妨害行為をなしてはならぬと同時に、その統禦下に在る組合員をして、かかる妨害行為をなさしめてはならない、という義務を負つている、と解すべきである。

以上は、当事者双方の提出した疎明に基いて、一応認められた事実関係から判断したものであり、主文の通り決定したしだいである。

(裁判官 柳川真佐夫 中島一郎 高島良一)

(別紙目録省略)

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